『禁忌の子』山口未桜   自分はいったい何者なのか?

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救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とは――。過去と現在が交錯する、医療×本格ミステリ! 第三十四回鮎川哲也賞受賞作。

禁忌の子 - 山口未桜|東京創元社 より引用

・武田航:救急医。救急で運ばれてきた遺体が自分とそっくり。

・武田絵里香:航の妻。妊娠中。

・城崎:航の元同級生。同じ病院で働いている。

・生島京子:生島クリニックの理事長。

・「キュウキュウ十二」:身元不明の溺死体。航と瓜二つ。本名は中川信也。

航は自分の母子手帳に「生島クリニック」の存在を見とめたが、すぐに母親が病院を変えて別の産婦人科に通ったことが気になった。

実際は当時生島院長は医療の実験を行っており、自分とその時のメンバーであった男性を実験体にして受精卵を信頼できる知り合いに譲っていた。その中の1人が航であり、また中川信也であった。

信也は幼い頃、きょうだいが上手く生まれてこれなかったことで両親からひどい虐待に遭う。人生に希望を持てなくなった信也は大きくなって父親に暴力で返すようになり、悪い道へと踏み外してしまった。

実際には生島京子が行ったことは表立って公表できることではなかったので、子どもたちはみなそれぞれの両親から知らされずに大きくなった。

ここで気になったのは、中川家の信也に対する態度だ。2人の間の実子が生まれるはずだったのにそれが母親の身体が原因で生まれてこれなかったことで、なぜ信也に憎しみが向くのか?むしろ残された子どもが自分たちの運命の子だと思い直すことはできなかったのか?

京子との間で「子どもを何があっても大切に育て愛する」という旨の約束を取り決めていたが、結局は人の感情は製薬や契約で縛ることのできないものだと改めて感じさせられる内容だった。

禁忌の子とは、作品最後で偶発的ではあるが近親相姦によって生まれた子となっていた。

しかし、表に言えないやり取りによって生まれてきた絵里香や武田もまた、「禁忌の子」だったのではないか?と感じた。

とっても面白かった。医療用語がたくさん出てきて大丈夫か?と心配になっていたがそれを上回って面白すぎたので問題なし。

全く別の環境で育ったら逆に惹かれ合うって本当なの?

一卵性だったとしてもそんなところまで一緒になるのかなぁ。そこは不思議に思った。

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